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本間 俊充; 富田 賢一*; 波戸 真治*
Nuclear Engineering and Technology, 37(3), p.245 - 258, 2005/06
本研究では、確率論的事故影響評価における気象条件等の自然のランダムネスに起因する統計的不確実さとモデルや入力パラメータに関する知識不足に起因する不確実さを取り上げ、OSCAARコードを敷地外住民個人の早期及び晩発性がん死亡リスクの不確実さ感度解析へ適用した。流跡線による拡散モデルに適合した新気象サンプリング手法を確立し、その統計的なばらつきについて検討した。OSCAARの65の入力パラメータを対象とした不確実さ伝播解析を実施し、サイト近傍の個人の早期及び晩発性がん死亡リスクの期待値の不確実さ幅を与えるとともに、感度解析に相関及び回帰に基づく指標を用い、不確実さに寄与する重要なパラメータを明らかにした。
本間 俊充
Proceedings of 4th International MACCS Users Group Meeting, p.57 - 66, 2002/10
原子力施設の確率論的安全評価(PSA)の目的のために原研で開発された事故影響評価コードOSCAARは、CEC/NEA共催の国際比較計算で計算コードとしての機能を検証した後、おもに個々の計算モデル及び全体システムの妥当性検証に研究の重点を移した。レベル3PSAの計算結果に付随する不確実さの巾を評価し、不確実さに寄与する因子を明らかにするために、OSCAARの不確実さ・感度解析を実施している。事故影響評価にかかわる2種の不確実さのうち、統計的な不確実さの検討では、OSCAARで用いている大気拡散モデル(流跡線パフモデル)に適合した気象サンプリング手法を開発し、少ないサンプリング数で事故影響のスペクトルを効率よく推定することを実現した。また、主観的不確実さに関しては、パラメータの不確実さ伝播解析手法をOSCAARに結合し、個人の早期健康影響リスクを対象とした不確実さ・感度の予備解析を実施した。個々のモデルの妥当性検証では、IAEA主催BIOMASS計画の線量再構成シナリオにOSCAARの核種移行モデルを適用し、その性能を評価した。また、これら一連の研究成果をベースに、コードの適用として軽水炉モデルプラントのレベル3PSAを実施している。
Liu, X.*; 富田 賢一*; 本間 俊充
JAERI-Research 2002-004, 37 Pages, 2002/03
確率論的安全評価のレベル3計算における重要なステップの一つに、気象シーケンスのサンプリングがある。従来、これは大気拡散評価に直線プルームモデルを用いたコードについて検討されており、OSCAARのような流跡線パフモデルのコードではより一層の検討が必要とされていた。本報告書では、OSCAARコードシステム用に人口分布を考慮に入れた新しい気象サンプリング法の開発について記した。新サンプリング法の開発に際しては、網羅していること、適切に層別化されていること、最適に配分されていること、実用的であることを基本原則とした。報告書には、新しいサンプリング手法の手順とその適用について議論がなされている。計算の結果、数少ない環境パラメータで気象シーケンスを最適に層別化することは極めて困難であるが、新手法は最も厳しい結果を生じる気象シーケンスを一つのグループの中に集約することができた。このグループに属するシーケンスの数は高々数十なので、確率論的事故影響コードシステムのさまざまな計算においても、この補累積分布関数の末端部分の計算値が比較的安定した結果となる。
Liu, X.; 本間 俊充
JAERI-Tech 2001-054, 49 Pages, 2001/08
確率論的安全評価のレベル3計算においては、事故影響の完全なスペクトラムを予測するために気象シーケンスを決めるための層別サンプリング法が広く用いられている。気象ビン分類で用いる指標に対応した事故影響の変化の一般的な知見を得るために、さまざまな気象ビンに対する広範な計算を行った。この研究の結果から、放出時最初の気象条件の他に、例えば気象パラメータの時間積分のような事故影響結果に影響を与える因子があることが示唆された。層別サンプリング法における気象シーケンスのグループ化規準の選定には改善の余地がある。
本間 俊充; 松永 武
JAERI-Research 2000-059, 63 Pages, 2001/01
本研究書は、日本原子力研究所で開発した事故影響評価コードOSCAARを国際原子力機関が主催するBIOMASS計画テーマ2イプート線量再構築シナリオに適用した結果を記載したものである。このシナリオはチェルノブイル事故で高汚染したロシアのブリアンスク地域の河川流域と農作地帯におけるCsの汚染を扱ったものである。このシナリオ解析は、OSCAARの長期被曝経路モデルの実測データによる検証及び各評価モデルに関連した不確実さの主たる要因の同定に用いられた。OSCAARの長期被曝経路モデルは、回答を求められた多くの農作物あるいは自然食品中の10年間にわたるCs濃度の再評価に大方成功した。しかしながら、Csの土壌下方への移行のモデル化は依然として十分ではなく、長期の食物汚染の予測には、植物が利用可能な形態の土壌セシウムの時間変化を予測するより詳細なモデルが必要である。
本間 俊充; 石川 淳; 富田 賢一*; 村松 健
JAERI-Research 2000-060, 80 Pages, 2000/12
日本原子力研究所(原研)で実施した軽水炉モデルプラントの内的事象に関するレベル2PSAから得られたソースタームを用いて、モデルサイトの周辺公衆に対する健康影響を評価した。本評価では、代表的な5つの炉心損傷事故シーケンスそれぞれについて、ソースタームに著しく大きな影響を及ぼす4つの格納容器破損シナリオ(ドライウェル過圧破損、ウエットウェル過圧破損、格納容器ベントによる管理放出、格納容器スプレーによる事故終息)を対象として、個人線量、集団線量、早期及び晩発性の健康影響を評価した。この評価には、原研で開発した確率論的環境影響評価コードOSCAARを用いた。主要な結論として、過圧破損シナリオでは防護対策の実施により早期の健康影響の発生は避けられること、晩発性の健康影響の確率は十分小さいこと、格納容器ベントによる管理放出あるいは格納容器スプレーによる事故終息のシナリオでは、特にヨウ素やセシウムの揮発性物質の環境への放出量の低減により、防護対策を考慮しなくとも周辺公衆の個人線量及び集団線量の十分な低減が図られることが示された。
本間 俊充; 井上 佳久*; 富田 賢一*
JAERI-Research 2000-049, 101 Pages, 2000/10
本報告書は、日本原子力研究所で開発した事故影響評価コードOSCAARを国際原子力機関が主催するBIOMASS計画テーマ2のハンフォード線量再構築シナリオに適用した結果を記載したものである。このシナリオは米国ハンフォードのピュレックス化学分離施設で1963年9月25日に起きたIの大気中への事故的放出に関係するものである。この解析によって、OSCAARで用いているIの大気中拡散・沈着及び食物連鎖移行モデルを実測データを用いて検証した。排気筒高さの気象データ及び周辺地上観測所のデータを内挿して得られた風速場から計算された大気拡散・沈着の結果は一部、予測性能に限界があったが、OSCAARの食物連鎖移行モデルは比較的、精度のよい評価が可能であった。また、モンテ・カルロ法に基づくOSCAARに結合された不確実さ・感度解析手法は、このシナリオ計算を通して機能が確認され、事故影響評価に最も重要な影響を与えるパラメータの決定に有用であった。
本間 俊充; 外川 織彦
3rd Int. Symp. on Advanced Nuclear Energy Research; Global Environment and Nuclear Energy, 5 Pages, 1991/00
リスクの観点から潜在的影響の大きい原子炉の事故時の公衆に対する放射線影響を評価する計算コードシステムOSCAARの開発状況について報告する。OSCAARは大気中に放出された放射性物質の環境中移行を解析し、線量算定及び健康影響の予測を行ういくつかのモデルから構成されている。また、移行係数、線量換算係数、人口動態等の重要な入力パラメータ及び基礎データを提供するために、OSCAARとは独立のコード及びデータベースがOSCAARを支援している。本報告では、コードシステムの構成、主要モデルの概要の他に、現在進めている各モデルの実証研究及びコードの品質保証に関する研究についても言及する。